「日本秘湯を守る会」という団体をご存知でしょうか?
この団体が発行するスタンプ帳にスタンプが10個貯まると、今まで訪れた温泉宿の中の好きな1つに無料でご招待!という仕組があり、今回はそれを利用して静岡県西伊豆の「雲見園」に無料宿泊してきましたのでそのレビューをしていきます。
「日本秘湯を守る会」とは?
会の成り立ち
「日本秘湯を守る会」とは、全国の秘境にある小さな温泉宿を守り広めることを目的とした団体で、200軒前後の宿が加盟しています。山奥や海辺の小さな温泉宿が中心で「秘湯らしさ」を残しながら経営を続けているのが特徴です。
加盟宿の特長
1.立地・環境
- 山間部や渓谷、秘境などにあり、アクセスが比較的困難な場所であること。
- 大規模開発地や観光地化された温泉街ではなく、自然環境と調和していること。
2.温泉の条件
- 自家源泉を持つこと、または源泉に近接していて引湯量が十分であること。
- 加水・加温・循環ろ過をなるべく行わず、自然湧出の泉質を活かす姿勢があること。
3.規模・経営方針
- 小規模な旅館・民宿であること(数室〜数十室規模)。
- 「豪華さ」よりも「素朴さ」「家庭的なおもてなし」を重視すること。
- チェーンホテルやリゾート型ではなく、家族経営や地元に根ざした運営であること。
4.文化・理念
- 「秘湯を守る」という趣旨に賛同し、自然・文化・温泉を次世代に残す意識があること。
- 宿泊者に「秘湯の魅力」をきちんと伝えようとする姿勢があること。
「日本秘湯を守る会」スタンプ帳の仕組

- 1回宿泊する毎に1個のスタンプ(紙のみ)が押され、10個貯まるとこれまで宿泊した10軒のうち好きな1軒に無料で宿泊可能(一泊二食付きプラン)。
- 1個目のスタンプ押印日から3年以内に10個集める必要があり、無料招待の利用期限は1個目のスタンプ押印日から3年半後以内。
(例:スタンプ押印日が2025/9/2とすると、スタンプ押印期限が2028/9/1、無料招待利用期限が2029/3/1) - 飛行機のマイルと同じで、他人の宿泊ではスタンプを押すことは不可。
- 兄弟組織である「日本源泉湯宿を守る会」「日本文化遺産を守る会」ともスタンプ帳併用可能。
- 予約時は専用サイトからの予約のみスタンプ押印可。(楽天トラベルのようなサイトからは不可)
- 同伴者を連れていきたい場合は、同伴者の分を別途実費で支払う必要あり(同伴者が無料招待対象でない場合)。
「雲見園」の概要

住所 | 静岡県賀茂郡松崎町雲見401 |
アクセス | 東京から新幹線・バスで3時間半、車で3時間 |
チェックイン/アウト時刻 | 14:00 / 10:00 |
部屋数 | 全5室 |
温泉 | 男女内湯×2、混浴露天風呂×1、貸切露天風呂×1 |
「秘湯」と聞けば、普通は人里離れた山奥にひっそりたたずむ古びた温泉旅館をイメージすると思いますが、雲見園は珍しく海辺にある秘湯です。海辺にもかかわらず、源泉59℃の高品質なナトリウム泉が湧出しており、加温・加水することなく源泉かけ流しの温泉を楽しめます。
お部屋「雪富士」

オーシャンビューの最も眺望の良いお部屋。シンプルながら手入れが行き届いており、シックな色の琉球畳も粋。
女将さんが「せっかく招待で雲見園を選んでくださったので、喜んでもらえるようにこの部屋にしました」とのこと。無料招待なのに逆に恐縮でしたが、素直に嬉しいお心遣いでした。

冷蔵庫、コーヒーマシン、洗面台、簡単な食器類が完備。奥はウォシュレット付きトイレ。温泉上がりにはうれしい氷水が入ったポットも用意されており、気遣いを感じました。
貸切露天風呂

予約制(1時間)の貸切露天風呂。2025年7月10日に風呂桶を新調したそうで、ヒバの心地よい香りが漂っていました。カルシウム・ナトリウム塩化物泉で、加温も加水もせずに源泉かけ流しを楽しめます(風呂桶の下のほうに入水口あり)。温泉は海の1/3の濃度の塩分でしょっぱい。何よりも眺望が最高で海のさざ波を聞きながらゆっくり温泉に浸かることができます。
内風呂(男風呂)・混浴露天風呂

こじんまりとしていて、正直言って体や髪を洗うためのスペースが主といったイメージ。湯舟も最低限の大きさ。(露天風呂で楽しめばいいんです)

混浴露天風呂(19時~21時は女性専用)。開放的で程よい大きさの湯舟。岩に温泉の塩分が結晶化して付着しており塩分濃度の高さを感じる。眺望は貸切露天風呂のほうが上。
夕食(海賊からのプレゼントプラン)

お魚はすべて目の前の海で獲れたばかりの新鮮なもののみ。4代目のご主人が京都と東京で料理人と修行されていたとのことで、料理は相当美味しかったです。この他にも炊き立てのご飯や焼き物やデザートが数品ありました。
朝食

富士山の器の中身は湯豆腐。全部丁寧に作られているのが伝わってくるとても美味しい朝食でした。
番外編:近くの海と山

近くの烏帽子山(往復60分)に登山して上から撮った写真

宿から徒歩1分で海水浴場があり、遊泳可能。宿では浮き輪の無料貸出もあります。
まとめ
今回の無料宿泊は本来支払う金額 27,000円/人が無料となった上に、雲見園の女将さんの素晴らしいホスピタリティにも癒され非常に良い旅となりました。
10個スタンプを貯めると1回無料というこのシステムは、自分へのご褒美感も相まってけっこう嬉しいものです。またこの「日本秘湯を守る会」の会員宿はほぼ例外なく温泉&料理が非常に良いので、おすすめです。
世界一周まであと2か月を切った中、こういった日本ならではの旅行体験を噛みしめながら準備を進めていこうと思った旅でした。